著者:松田 哲也
発行:ザメディアジョン
著者、松田哲也さんは広島マツダの会長兼CEO。この本は、自動車メーカー「マツダ」と「広島東洋カープ」の“華麗なる松田家”の一人として、周りのプレッシャーに押しつぶされそうになりならがらも一歩一歩生きてきた半生と、自らの手で2016年に原爆ドームの真横にオープンした『おりづるタワー』ができるまでの物語です。
1945(昭和20)年8月6日、広島に原爆が投下されました。おりづるタワーは永遠なる平和を願い「70年間草木も生えない」と言われたこの街を、風景を展望できるタワーとして、生まれ変わらせたビルです。しかし、そこに至るまでの苦労とお金は相当に大きく困難の連続でした。読み進める私の胸中に共感と勇気を沸かせてくれました。
著者は、中学、大学受験の失敗、父との殴り合いの喧嘩、家族と同じ食卓を囲んだことのない人生を歩みます。劣等感と無力感に苛まれながらもひとつの出会いから“負けてもいい… 投げ出さなければ”という“7勝8敗”の美学を胸に広島マツダの経営者として上り詰めていきます。
どう生きるか? どう社会貢献していくか? どう人財を育てるか? この本のテーマは大きい。私も妻と2年前、原爆ドームに行ってきました。二度とこの“悲惨”を起こしてはいけない。2045年、原爆投下から100年。どんな広島、日本、そして私たちになっているのでしょうか? 決して忘れてはいけない8月6日『おりづるタワー』から見下ろす街が次代に誇れる景色であってほしいと心から願います。